こんにちは。住まいの専門家上谷です。
今日は家づくりの中でも、特に気になる動線のお話です。
動線は、各部屋をつなぐような広い範囲に関係するのはもちろんですが、部屋の中にでも細かく存在しますから、住まいづくりの中でも、実際の生活に関わってくる、非常に重要な要素です。もちろん皆さんも、動線で失敗したくないですよね。
しかし、実際の間取り計画では、部屋の広さや、デザインばかりが気になってしまって、動線計画は担当者任せになっている、ということも多いと思います。
そこで今回のブログでは、皆さんのお家を生活のしやすい最高の動線にするために、動線で起こりやすい失敗や、見落としやすい注意点に限定してご紹介します。
それぞれの間取りの特徴や、メリット・デメリットに加えて、効果的な対策まで詳しく解説します。
ご家庭によって生活のしやすい動線というのは、大きく異なってきますから皆さんの生活スタイルに合わせて、役立つ情報だけ取り入れながら、是非最後までご覧ください。
それでは、「知らないとずっと後悔!失敗動線7選」をご紹介します!
1.ワンフロア完結型
1フロア完結型は、最近特に要望が多い間取りで、家事に関係するスペースを、1フロアにまとめて配置する間取りです。
1フロア完結型を採用することで、家事動線をまとめることができますから、共働きが多く忙しい現代のご家庭にとって、メリットが多い動線となりそうですよね。「これは何が何でも採用したい」と考えている方も多いと思います。
しかし、1フロア完結型には、誰もが陥りやすい失敗ポイントがあります。その失敗ポイントは、各スペースが窮屈になってしまうという点です。どういうことか詳しくご説明します。
まず、1フロア完結型に、関わってくるスペースを挙げてみると、まず、脱衣室や洗面室、浴室などの水回りスペース、そして物干しスペースやファミリークローゼットなどの家事収納スペース、それにキッチンへの動線も関連してきます。
また、こちらを1階に配置する場合は、さらにそれ以外に、玄関やホールといったスペースも加わります。
こう考えると、1フロア完結型の動線計画には、かなりのスペースが必要になる、ということが分かっていただけたかと思います。
もちろん、平屋の場合や、土地のスペースにゆとりがある場合は、いくら広げても問題はありません。ですがほとんどの場合、1階部分にそこまでのゆとりは無い、という場合が多いと思います。
そうなると各スペースを、かなりコンパクトに設計する必要があります。
ですが、せっかく1フロアで便利なはずの動線計画を、収納スペースも十分に取れないような、窮屈な設計にしてしまうのはつらいですよね。
こういった場合の効果的な対策は、家事スペースを適切にグルーピングをして、階ごとに振り分ける、という方法です。
例えば、2階の個室空間に加えて、浴室や洗濯室、そして、物干しスペースやファミリークローゼットを配置することで、個室と水回りをプライバシー空間としてグルーピングして、まとめて配置することができます。
生活スタイルによっては、このように浴室や収納空間は、寝室に近い方が使いやすいというご家庭もあると思います。
このような配置であれば、1階のリビング空間も広々と計画できますし、関連のあるスペース同士の動線は、コンパクトにまとまっていますから、様々な面でメリットがあります。
簡単にいってしまえば、1フロア完結型動線にこだわりすぎないこと、ということですが、ご自分の生活スタイルに応じて、2階に配置する方が適切な空間を検討してみてください。
2.道路側の玄関
「玄関は道路面に配置するのが当たり前でしょ」と思っている方も多いかもしれませんが、実は、敷地条件によって避けた方が良い場合が多いです。詳しくご説明します。
分譲地の場合や、敷地にゆとりが無い場合、道路面というのは日照や採光を確保する上で重要になります。
道路面以外の3面は、隣の土地と隣接している、という土地の形状は多いですから、例えば、道路面に庭を設けたり、リビングを配置する、ということは多いと思います。
しかし、道路面に玄関を配置してしまうと、せっかくの開けた面に玄関やホールが占領してしまい、キッチンを日照条件の悪い面に配置してしまったり、矩形のLDKになってしまう場合もあります。
実際、こういう形状のお家は凄く多いですよね。
ですが実は、非常に簡単な方法で、こういった問題を解消することができます。
その方法は、アプローチを奥まで伸ばすだけです。
最近では、来客者も少ないですから、玄関の位置や構えについて、そこまでこだわる必要もありませんし、敷地の奥側の玄関であれば、玄関ドアを開けた際に中が見えてしまうというような、プライバシー性を気にしなくても良い、というメリットもあります。
また、土地の面積にゆとりが無く、駐車場から玄関の奥行があまり取れず、玄関の上部に、十分な庇が設けられない、という場合もありますが、玄関の配置を奥にするだけで、そういった問題も解決することができます。
「車から玄関まで歩くのが遠いわ」という声もあるかもしれませんが、アプローチが多少長くなったところで、出かける時と帰宅時の数歩分変わるだけです。
それによって日照を確保できるスペースが増えると考えれば、そこまで道路側の玄関にこだわる必要はないと思います。
それにメインの外観から玄関がなくなると、外観デザインの自由度はずっと広がりますから、デザイン性についてもオススメです。
もちろん道路や駐車場の真反対に玄関を作る必要まではありませんが、特に理由もなく、なんとなく道路側に玄関を配置している、という方は、是非ご検討ください。
3.整形の間取り
家の形を考える場合にほとんどの方は、正方形や長方形のような、整形の間取りで検討することが多いと思います。
しかし、整形の間取りで計画をすると、本来の理想の動線を、実現することができなかったり、無駄なスペースで穴埋めをしてしまう危険性があります。
どういうことか詳しくご説明します。
例えば、A・B・C・Dの関連するお部屋がある場合に、各部屋を行き来するために、理想の動線配置をイメージすると、不整形な間取り配置になってしまう場合があります。
こういった場合に、整形な間取りにこだわってしまうと、次のような3つの間違った行動をとってしまいがちです。
- 部屋の配置を変えて、本来の理想の動線ではなくなってしまうこと
- 必要な部屋の大きさを変えて無理やり整形に合わせてしまうこと
- 無駄なスペースを作って穴埋めをしてしまうことです。
この中でも特に多いパターンは、3つ目の穴埋めパターンです。
これはハウスメーカーにプランをお任せしているような場合は気づきにくいですが、営業マンから、要望していないスペースの提案があった場合は、これに当てはまっているとみて間違いないでしょう。
「階段の横にお子さんのためのプレイルームを計画しておきました」というようなパターンです。とはいっても「整形な方が割安やからええやん!」という声もあるかもしれません。
ですが、割高な100万よりも、割安な150万の方が当然ながら高いです。それが必要のないスペースで穴埋めされたのなら、なおさらですよね。
それに、不整形な間取り形状も効果的に利用することで、中心部の部屋に採光を取り込んだり、ファサード(建物を正面から見た時の外観のこと)を印象的なものにすることもできますから、整形な間取りにこだわりすぎないように計画していただいたらと思います。
4.小さな周遊動線
周遊動線(回遊動線)は、人気の間取りですから、お家の中で一か所は取り入れたい要素だと思います。
ですが、配置する場所を間違えると、無駄なスペースとなってしまったり、せっかく収納を増やせるスペースをつぶしてしまう、という可能性もあります。
皆さんの間取りを見ている中で、もったいないと感じる失敗パターンは、小さすぎる周遊動線です。
それはどういう間取りかというと、例えば、キッチンに周遊動線を計画する際に、玄関ホールからの動線と、水回りへの2方向に対して周遊動線を計画するとします。
こういったパターンは、使用する人によってルートを分ける2wayとして人気の形ですが、冷静に考えると1つの通路でも同じような使い方ができますから、無駄な通路スペースを増やしただけになってしまいます。
小さな空間で周遊動線を設けるのは、こういった無駄な間取りになる場合が多いです。
本来の周遊動線のメリットは、長いはずの通路空間を扉1枚でつながれるというような、マリオサーキットのショートカットのような使い方ができなければ意味がありません。
オススメの周遊動線の配置は、階段を回る周遊動線です。
間取りの中でも空間を分断してしまう要素が階段スペースです。
階段は、家の間取りの中で端部に配置してしまうと、1階と2階のつながりが薄くなってしまい、家全体の動線に影響してしまいます。
だからといって階段を家の中央に配置してしまうと、動線を分断してしまいます。
こういった際に、階段の周りに周遊動線を計画すると、階段で動線を分断することがなくなります。
そうすれば、いずれのスペースも短い動線になりますから、本来の目的であるショートカットとして利用できて、ワルイージがいくら早くても追いつくことができます。是非、マリオサーキットをご検討ください。
5.トイレが家の端
トイレと動線の話は、一見関係なさそうに思いますが、大いに関係してきます。
どういうことなのかご説明します。
まず、間取りを計画する際に、通路の奥のスペースには大きな部屋を設けるのが基本です。なぜかというと、大きな部屋の方が通路が短くなりますから、無駄なスペースを省けるからです。
つまり、小さなスペースを、通路の奥側に設けた場合は、より長い通路スペースが必要になるということです。
その中でもトイレは一般的に1畳程度と、家の間取りの中でかなり小さいスペースです。
ですが案外、トイレはプライバシー性が必要なために、家の端に配置してしまうことが多いです。
そうなるとどうしても、トイレのために通路を伸ばす必要がでてきます。
それに通路スペースが無駄になるというだけではなく、トイレは、家族全員が一日に何度も利用しますから、その利用回数は他の水回り空間と比べて非常に多く、トイレの利用のしやすい配置は、生活の利便性に大きく影響します。
こういったことから、家の端のトイレは避けた方が良いです。
また、トイレ配置は、階段とセットで家の中央付近に設けるのがおススメです。
階段とセットで家の中央付近にもうけておけば、1階・2階のどちらからでも使いやすいスペースになりますし、階段は通路スペースですから、トイレだけのために通路を設ける必要がなく無駄がありません。
2階建てをご計画の際は、是非参考にしてください。
また、トイレに限らずコンパクトなスペースは、できるだけ通路の手前に配置して、奥側に大きなスペースを配置することで、動線をできるだけ縮めることができますから、計画中のプランがあれば、無駄に通路が伸びていないか確認してみてください。
6.片廊下型動線
片廊下型は、間取りの中でどちらかの端に通路を設ける配置です。
片廊下型の失敗しやすいポイントは、正方形に近い間取りや、不整形な間取りには向いていないということです。
例えば、正方形の間取りに片廊下型を採用した場合は、通路が一方だけでは足りず、他方にも通路を配置する必要ができてしまい、かえって無駄な動線になってしまいます。
不整形な間取りの場合も同様で、通路が長くなってしまい無駄なスペースをとってしまいます。
ただ、逆に片廊下型にも採用するうえでのメリットがあります。
それは片廊下型とすることで、真っすぐの動線が確保しやすくスムーズな動線計画となるからです。
また、各スペースと通路空間を区分けしやすいですから、パブリックとプライベートを明確に分けることができます。
特に長方形のような長い間取りの場合に向いている動線です。
このように片廊下型は、家の形状によって向き不向きのある動線配置ですから、ご自宅の形にあわせて採用を検討してください。
7.ホール型動線
ホール型動線は、玄関ホールや2階ホールから各部屋にアクセスする形の配置です。
実は先ほどの片廊下型と反対の特徴を持っているような動線配置です。
ホール型の失敗しやすいポイントは、長方形の間取り配置に向かないということです。
正に片廊下型と逆の特徴を持っています。
正方形に近い間取りの場合は、中心にホールがあることで各部屋へのアクセスがスムーズになり、通路スペースをコンパクトに抑えることができますが、長方形の間取りの場合は、奥まで通路を伸ばす必要がありますから、家の中で重要な中心のスペースを通路空間の為に、大きく割くことになってしまいます。
こういったことから、ホール型動線についても、先ほどの片廊下型と同様に、間取りの形状に合わせて適切に配置いただいたらと思います。
なお、1階と2階の通路形状をそれぞれ別のものとすることもできますが、構造上の柱や壁の位置の合わせやすさを考えると、各フロアの通路は同じ形状の方が安全なお家になります。
今回は、『知らないとずっと後悔!失敗動線7選』を7つご紹介しました。
このブログでは、実際の住まいづくりで、本当に役立つような情報をお伝えしております。家づくりにお悩みの方は、オンライン個別相談も行っておりますので、気になる方は下記URLをご覧ください。
今回も最後までブログを見てくださって、本当にありがとうございました。一緒に最高の家づくり目指して頑張っていきましょう!