知らなきゃ損する!最高の屋根5選


こんにちは住まいの専門家上谷です。

「あっ、屋根は特にこだわりないから、おススメのものでお任せします」
皆さんこんなふうに屋根を適当に決めていませんか?

そんなふうにお任せで進めてしまうと、失敗をしてしまうかもしれません!
なぜなら屋根の形状は、家のデザインに影響するのはもちろんですが、家の中で最も日差しや雨風を受ける部分だからです!

そうすると当然ながら、家全体の耐久性や、暑い寒いといった温熱環境にもかかわってきますから、適当にお任せで決めていい部分ではありませんよね!

そこで今回のブログでは、特に採用率の高い屋根の中で、私がおススメする屋根形状を、ランキング形式で5つご紹介します。それぞれの屋根のおススメの理由や、採用するうえでの注意点に加えて、失敗しやすいポイントも、あわせて詳しく解説します。

それでは、最高の屋根ランキングをご紹介していきます!
こちらのランキングは、価格や耐久性、加えて、メンテナンス性、安全性、そしてデザイン性などを総合的にかつ、勝手に判断していますので、ご了承ください。

それでは、第5位からご紹介します。

第5位 陸屋根


最高の屋根ランキング第5位は、陸屋根です。

陸屋根はその名の通り、陸のように平らな形をした屋根です。そのままですよね。
住宅金融支援機構が行った20年前の調査では、新築住宅で陸屋根を採用される方は6%ほどだったのですが、現在は1%と、非常に採用する方が少なくなっています。

1%といえば初恋の人と結婚する確率らしいですから、そう考えるとかなりレアケースですよね。
ちょっと余計に分かりにくくなったかもしれませんが、今新しく建ったお家で、陸屋根で建てているお家を見ることは、実際かなり珍しいですよね。

そして、その採用されなくなった原因ですが、まず一つ目にメンテナンス頻度が多いことが挙げられます。

メンテナンス頻度が多くなる原因としては、屋根の傾斜がほとんどありませんから、雨が流れにくくコケが生えやすいこと、そして同様に、汚れもたまりやすいことが原因です。

加えて、常に屋根全面に日差しが当たり続けることになりますから、他の屋根形状に比べて紫外線による屋根材の劣化は早くなります。

そして、採用されなくなった2つ目の理由は、最近では屋根の上には太陽光発電を設置することが多いですから、太陽光発電のパネルを設置する際に、設置のための架台が別途必要となることも、陸屋根が敬遠される大きな理由として挙げられます。



ここまでのお話しを聞くと「そら陸屋根いらんわ」となってしまうと思いますので、陸屋根を選ぶ際のメリットの方もご紹介します。

陸屋根の最大のメリットはデザイン性です。
屋根の外観をシンプルな印象とすることができます。樋の位置も比較的自由に決めることができますから、雨樋を目立たない位置に落とすことができます。

そして、もう一つは屋根の上を歩けることです。
他の屋根と違い平坦なので、容易に歩くことができます。
「いや、なんのために歩くん?」と思った皆さん思い返してみてください。
年に何回か屋根の上を無性に歩きたくなることありませんか?
私はありません!

ということで、陸屋根のメリットとデメリットを比較すると、やはりメンテナンスに苦労することを考えると、それを補うほどのメリットは、あまり無いように思います。

とはいっても、陸屋根をどうしても採用したいという方もいらっしゃると思いますので、その方にオススメの屋根材をご紹介します。

陸屋根におススメの屋根材は、ガルバリウム鋼鈑の瓦棒葺きです。

ガルバリウム鋼板の瓦棒葺き



一般的に陸屋根を想像する際に、シート防水やFRP防水(ボートの底)のような防水材をイメージする方が多いのではないでしょうか。

防水材のイメージ



しかし、防水材は紫外線に対しての劣化が早いため、先ほどのように、日差しによる、紫外線を常に受ける陸屋根においては、適した部材とは言えません。

この防水材も、陸屋根をメンテナンス地獄にしてしまう理由の一つです。

それに対して、ガルバリウム鋼鈑の瓦棒葺きは、日差しに対しても耐久性が高いですから、陸屋根のメンテナンス地獄から解放してくれます。

それに、最小の勾配が1mに対して、たった5mmまでで施工ができますから、ほとんど水平に近い勾配で、施工することができます。こうすればデザイン性も損なう心配はありません。

一点注意点として、陸屋根で雨漏れをしてしまう場合は、ほとんどの場合、溝の部分が原因となりますから、溝部分の汚れや亀裂のチェックは、年に1回程度必ず行うようにしましょう。



ということで、結論あまりオススメできない陸屋根は、第5位でした。

第4位 切妻屋根


最高の屋根ランキング第4位は、切妻屋根です。

切妻屋根は、非常にシンプルな形状で、現在最も多く採用されている屋根です。
20年前の時点で既に3割だった採用率が、現在では4割とさらに超えています。

のび太君の家や、まるちゃんの家でも採用されていますから、ウチの子供に書かせたら、まず家の上にはこの切妻屋根を載せてくると思います。

そんな人気の切妻屋根ですが、採用されている一番のメリットは、価格が安いということです。
屋根の形状がシンプルで、棟という部材や手間が多くかかる部分が、少なく済むことから、屋根の費用を抑えられることが理由です。

しかし、実はここには大きな落とし穴があります。

それは、家全体として本当に安くなるかどうかは、外壁の仕様によるということです。
どういうことかというと、切妻屋根は他の屋根に比べ、外壁の面積が大きくなります。



それは、棟の下の三角の部分が広くなるからです。
つまり、屋根の費用が安くなっても、その分外壁の費用は上がってしまうんです。

例えば、屋根に安価なガルバ屋根を採用して、外壁に高価なタイル張りを採用した場合は、切妻屋根の場合、逆に費用が高くついてしまうんです。

「ほな、うちはサイディングやから問題ないわ」と思った皆さん残念!それも危ないです。
なぜなら切妻屋根は、棟の下の三角の部分がむき出しになります。この部分の外壁は、風雨を受けやすく、外壁の劣化が早くなります。


そうすると、サイディング外壁の場合は、塗装やコーキングの打ち換えといったメンテナンス頻度は多くなりますから、結果的にランニングコストがかかってしまいます。

ですから、切妻屋根の場合は、外壁に高いものを選んでも、安いものを選んでも損をしてしまうかもしれません。

とはいっても、「ウチは北欧風のイメージやから、切妻やないとあかん!」という方もいると思います。

その際は、費用は高額になりますが、塗り壁のような高耐久の材料を選定していただくことで、しっかりとメンテナンスに備えていただいたらと思います。



コーキングの打ち換えや、塗装の塗り替えの頻度が半分以下になります。

第3位 片流れ屋根


最高の屋根ランキング第3位は、片流れ屋根です。

片流れ屋根は、切妻屋根よりもさらにシンプルな形状で、その名の通り片方に雨を流すための勾配が付いている屋根です。

こちらは20年前に2%だった採用率が、なんと現在は30%の採用率になっています。
20年間で15倍も伸びているんです!異常な伸びですよね。

特にここ15年程で一気に伸びているのですが、皆さんなぜ急に片流れ屋根が採用されるようになったのか、もうお気づきの方もいるかもしれませんね。

その要因は、太陽光発電です。



片流れはそのシンプルな形状ゆえに、全ての屋根面を一番発電効率の良い方向に向けることができますから、まさに太陽光パネルのために作られた屋根といっても過言ではありませんよね。

そんな太陽光ありきのような片流れ屋根ですが、発電効率ばかりを意識しすぎると失敗してしまいます。

片流れ屋根の失敗しやすいポイントはデザイン性についてです。
片流れ屋根は、雨を1方向に流しますので、どの方向に流すかによって家の形状が大きく異なります。

側面から見た外観



側面から見れば屋根の勾配が良く見える形になりますし、水上側から見れば一見陸屋根のような、四角いシンプルな形状とすることもできます。

水上側から見た外観


ただ、水下側が正面となってしまうと、屋根面が見えてしまいますし、加えて、樋の落ち口も正面に来てしまいますから外観を損ないます。

水下側から見た外観


特に、南側道路の場合は、太陽光の発電効率ありきで考えると、こういった形状になってしまいますので十分外観に納得の上で採用してください。

「ウチの工務店は外観パースも作ってくれたから大丈夫」と思っている皆さんは特に危ないです。
外観パースは一番きれいに見える角度で、なおかつ太陽光パネルも樋も無い状態のものですから、実際の仕上がりとはかけ離れています。



下をよーく見てください。
「※こちらはイメージです。実際の仕上がりとは異なる場合があります。」など記載されていませんか?

屋根の向きは十分ご検討ください。
ちなみに、太陽光発電を北に向けた場合は、約3割ほど発電量が減りますが、全く発電しないわけではないので、一考する余地はあります。

第2位 段違い屋根


最高の屋根ランキング第2位は、段違い屋根です。

段違い屋根は、これもその名の通り屋根が段違いになっている屋根形状です。
差し掛け屋根や、招き屋根ともいわれます。
切妻屋根を一段ズラしたような形状が多いですが、片流れ屋根を1段ズラしたような形状もあります。

片流れ屋根を1段ズラしたような形状の屋根



段違い屋根の最大のメリットは、室内空間を表情豊かにできることです。

他の屋根形状は、外観のデザイン性や、メンテナンス性を考慮して、屋根を選ぶことが多いですが、こちらの段違い屋根は唯一、室内の間取りとの相性も考慮する屋根形状となります。

どういうことかというと、例えば段違い部分の外壁面に窓を設けることで、室内に採光を取り入れたり、重力換気を促せることもできます。

また、小屋裏空間を利用して、各部屋の天井の高さを変化させることで、その部屋の特徴にあった使い方ができるなど、まさに家づくりの醍醐味のような設計をすることができます。

それ以外にも、最近のお家は、2階の廊下の面積をコンパクトにするために、ホールに部屋をぐるりと囲んでしまって、窓が全く取れないということも多いですが、段違い屋根を採用すれば、上部に窓を設置できますから、そういった場合も解決できます。

また外観においても、他の屋根よりも特徴的ですから、デザインにおいてもおススメできます。

「そんなん言うても値段が高いとか言うんやろ?」と思った方も多いと思います。
結論そうなんです。他の屋根に比べて価格は確実に高くなります。

加えて、窓を設置する際の防水処理や、断熱・気密の連続性や、上の屋根の荷重を下の構造にしっかりと伝える為の、構造設計など、気を付ける部分もたくさんあります。

ですから、段違い屋根は必ず施工経験のある工務店で施工してください。「段違い屋根は初めてですけど、頑張ります」というような気合では、構造や雨漏れはどうにもならない部分ですのでご注意ください。

とはいっても、段違い屋根は現在約1割の方が採用されていますので、そこまで特別な仕様ではありません。ご興味ある方は、一度工務店に施工経験を尋ねてみてください。

第1位 寄棟屋根


最高の屋根ランキング第1位は、寄棟屋根です。

寄棟はクレヨンしんちゃんの家でも採用されているくらいメジャーな屋根の形状です。

20年前は半分以上の方が寄棟を採用しており、最もスタンダードな屋根といっていい形状でした。ですが、現在では、切妻(約4割)、片流れ(約3割)に次いで3番目の採用率となっています。

この寄棟の採用率が下がっている要因は、こちらも太陽光発電との相性が悪いことが挙げられます。

寄棟は4面に向いた屋根形状ですから、各方向の間に棟があります。


そして、太陽光パネルを敷き詰める際に、この棟が障害となってしまいます。実際、太陽光発電との相性が最も良い、片流れ屋根の採用率の上昇に比例して、寄棟の採用率は減少しています。

もしかしたら、10年後の子供たちの家の絵は、片流れの上に太陽光が乗っているのが当たり前になるかもしれません。


それはさておき、なぜそんな寄棟を今回第1位としておススメしているのか、理由をご説明します。

それは、寄棟が現在の日本の風土に、最も合った屋根形状だからです。詳しくご説明します。

寄棟は、4方に深い軒を出すことができますから、日差しを遮ることで、日射や紫外線による劣化を防いでくれます。

また、軒を低い位置までおろすことができますから、台風等の風雨に対しても、家を守ってくれます。こういったことから、気候に対して最も効果的な屋根形状といえます。



もちろんこういった特徴があるからこそ、従来の家の中で最も採用率が高かったわけですが、先ほどのように、太陽光発電のパネルを敷き詰める、という点に関しては相性が悪く、採用される数は一気に減少していきました。

しかし、実は最近では、その流れも少し事情が変わってきました。
それは、太陽光発電の導入費用や、発電した電力の買い取り価格が下がってきたからです。

どういうことかというと、以前は導入に必要な費用が高額で、買い取りの価格も高かったことから、屋根の面積に対して、できるだけ多くの太陽光パネルを敷き詰めていました。

そうすることで、導入費用をできるだけ早く回収して、余剰電力を売るということを、一番の目的としていた訳です。

ですが現在では、導入費用も小さくなり、また、それに合わせて買い取り価格も下がってきました。そうなれば、あまり費用をかけず、自宅で使用する分だけの容量を敷設する、という考えもできますから、寄棟でも十分な容量を確保できます。



それに最近では、間取りの効率化が進み平屋のお家がかなり増えています。
平屋の場合は床面積が広く、一辺の長さが長くなりますから、片流れや、切妻を採用した場合は、必要以上に外壁面積が増えてしまったり、建物の高さが高くなってしまいます。

片流れ屋根


切妻屋根



つまり、寄棟を採用した方が、建築予算の面でもメリットがあるということです。

寄棟屋根



ただし、まだまだ屋根だけの金額で比較して、価格が安いからと片流れや切妻の提案をする工務店もいると思います。

ですから、金額だけではなく、日射遮蔽や外壁のメンテナンス等も考慮して決めていただければと思います。



今回は、『知らなきゃ損する!最高の屋根5選』をご紹介しました。

今回のランキングとポイントをおさらいしてまとめると、

第5位 陸屋根    防水材はメンテが大変
第4位 切妻屋根   価格が安い訳では無い
第3位 片流れ屋根  屋根の向きに注意
第2位 段違い屋根  表情豊かな家づくりができる
第1位 寄棟屋根   気候に強い屋根

こういった内容でお伝えしました。

屋根を選ぶ際は、性能面に加えて価格やデザイン性など、様々な面から総合的に採用を判断する必要があります。ですから、工務店任せにしていると価格重視の屋根を採用してしまって、後からメンテナンスに苦労するかもしれません。

今回のブログを参考にしていただいて、しっかり比較検討してください。
このブログでは、実際の住まいづくりで、本当に役立つような情報を毎週お伝えしております

一緒に最高の家づくり目指して頑張っていきましょう。

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上谷 幸祐

上谷 幸祐

一級建築士。株式会社かみだに工務店一級建築士事務所代表。 徳島出身。1984年4月生まれ。4児の父。 建築一筋18年、住宅診断300棟、設計施工100棟 ゼネコンでの現場監督経験や、大手ハウスメーカーでの営業・設計など幅広い建築経験を経て独立。 現在は、徳島県で主に間取りリフォームやリノベーションを扱う工務店を経営。 登録者6000人超の住宅関連情報を発信しているYouTubeチャンネルを運営。

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