知らないと絶対後悔する!!失敗する間取り7選 中編


こんにちは。住まいの専門家かみだにです。

今回は『知らないと絶対後悔する!!失敗する間取り7選』の中編になります。(前編がまだの方はこちらからどうぞ!)

3.整形の間取り


間取りの失敗ポイント3つ目は、整形の間取りです。

整形の間取りというのは、家の形状が長方形や正方形のような四角いの間取りのことです。

整形な間取りは、家の角の数が最小になりますから、シンプルで施工もしやすく、必要な部材も少なくなるため、一般的に建築価格が抑えられるという利点があります。

ですから、坪単価という価格指標が、重要なハウスメーカーにおいては、まず整形な間取りの中での提案がどうしても多くなってしまいます。

しかし、整形な間取り形状にこだわるということは、そもそも間取りを外から考えてしまうので、理想の動線とはかけ離れたものになってしまいます。

なぜかというと、外枠ありきで間取りを計画すると、枠の中にあてはめるパズル遊びのような間取りなってしまうからです。

例えば、もう少し広げたらキッチン周りのスペースにゆとりが生まれ、水回りとの動線が真っすぐ通るのにという場合や、逆にダイニングのスペースがやたら余ってしまっている、というような間取りです。

皆さんもご自分で間取りを検討する場合に、まずノートに四角い外枠を書いて、その中に各スペースを当てはめている方もいると思います。

そのやり方では、各スペースのつながりや、各スペース配分はある程度制限されてしまいます。ですから、あくまでも間取り計画段階は、動線や各スペースに本当に必要な広さで計画して、外枠を意識しない間取りの組み立て方が重要です。

そうすることで、自分にとっての理想の動線や、間取りの配置を理解することができます。

「そんなもんガッタガタの家になるやないか!」と思うかもしれませんが、それはプロの設計で、最終的に外観もまとめることができます。あくまでも、重要なのは初めから型にはめてはいけない、ということです。

4.収納面積


間取りの失敗ポイント4つ目は、収納面積です。

『家の収納は、どれくらい取れていた方が良いのか』という場合に、収納率というような割合を用いることがあります。

例えば、10%では足りないとか、15%くらい取れていれば十分、というような話を見かけることがあります。

結論からいうと、それは全く無意味です。

理由をご説明します。

先ほどの収納率は、収納の大小や場所に関わらず、全ての収納面積を足して割り出しますから、使いやすい場所にあろうがなかろうが関係なく算出することになります。

例えば、普段使用が全くできないような2階の納戸でも、小屋裏収納でも、天井高の低いロフト空間でも、個室のウォークインクローゼットでも同じように扱います。

そういった収納率を意識していると、収納面積が十分取れていると錯覚してしまって、実際には、必要な場所に全く取れていないことに、生活してから気づくことになります。

実際に多い例でいえば、20帖の広いLDKに収納が全くない、というような間取りはたくさん見かけます。こうなると、生活雑貨を収納することができず、生活の中心の部分に物があふれてしまいます。

では、どうすれば良いのかというお話です。

それは収納面積よりも、収納の数に意識を向けるということです。現代の生活の中で、必要な生活雑貨はほとんどが小物です。

そうなると、必要な収納空間はまとまった大きな納戸を設けるよりも、各所に奥行きの浅い可動棚を設ける方が、同じ収納面積を設けるにしても有効に利用できます。

収納は必要な場所に設けなければ全く意味がありませんから、『1つのスペースに必ず1箇所以上の収納は設ける』という様に、小さくても良いので、収納の数を意識して設けるようにしてください。

5.周遊動線(回遊動線)


間取りの失敗ポイント5つ目は、周遊動線(回遊動線)です。

最近流行りの間取りの中で、ダントツ人気なのがこの周遊動線(回遊動線)ですよね。私も、新築・リノベーションに関わらず、ご要望いただくことが多いです。

周遊動線は、使う場所によっては便利ですが、使い方を間違えると、スペースを潰す上に動線も悪くなってしまいます。

最近、特に、お客さん受けが良いからか、めちゃくちゃな周遊動線を提案している間取りを多く見かけるようになってきましたので、注意喚起のためにもご紹介しておこうと思います。

実は、良い周遊動線と悪い周遊動線は、一発に見分けられる簡単なポイントがあります。ご紹介します。

まず、良い周遊動線は「こっちからも行ける」という動線です。

そして、悪い周遊動線は「こっちからは行けない」という動線です。

例えば、パントリー空間に周遊動線を計画した場合でお話しします。「こっちからも行ける」というのは、玄関からパントリーに直接アクセスができて、キッチンからもアクセスできる、というような動線です。

このような動線であれば、買い物から帰ってきても便利ですし、キッチンからもすぐに使用できる理想的なパントリー空間になります。

反対に、「こっちからは行けない」というのは、玄関から洗面を通って、さらにファミリークロークを通ってからじゃないと、パントリーにたどり着くことができない、というような動線です。

一見、帰宅動線としては理想的に感じるかもしれませんが、1日1回の帰宅動線のために、毎度、他のスペースを通ってから目的のスペースにたどりつくのは、どう考えても不便です。

仮に今は、それが理想の使い方だとしても、少しでも生活環境が変化すると、一気に使いにくさを感じてしまう危険性を秘めています。

また、家事を担当している人の動線が最も重要なのは当然ですが、家族全員にとっても使いやすい間取りになっているか、という面も十分に考慮して、周遊動線は計画するようにしてください。

「とりあえず、周遊動線とシュークロとランドリースペースつけとけば、喜ぶやろ。」と提案してくる営業マンは、今かなり多いと思いますので本当にご注意ください。



次回は『知らないと絶対後悔する!!失敗する間取り7選 後編』になります!

▼こちらの記事はこの動画で詳しく解説していますので、是非ご覧ください!
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上谷 幸祐

上谷 幸祐

一級建築士。株式会社かみだに工務店一級建築士事務所代表。 徳島出身。1984年4月生まれ。4児の父。 建築一筋18年、住宅診断300棟、設計施工100棟 ゼネコンでの現場監督経験や、大手ハウスメーカーでの営業・設計など幅広い建築経験を経て独立。 現在は、徳島県で主に間取りリフォームやリノベーションを扱う工務店を経営。 登録者6000人超の住宅関連情報を発信しているYouTubeチャンネルを運営。

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