選ぶと危険!人気の間取り5選


こんにちは住まいの専門家上谷です。

「とりあえず人気の間取りを取り入れておけば大丈夫でしょ」
案外こんな考えで間取りを選んでいる方も多いのではないでしょうか。

確かに人気の間取りというのは、魅力的なメリットも多いですが、だからといって自分の生活スタイルにも合うとは限りません!

特に間取りは一度採用してしまうと、毎日の生活に大きく関わってきますから、10個のメリットがあったとしても、たった1つのデメリットにより「やめておけば良かった」と後悔してしまうこともあります。

そして、その時に大事なのは、「そのデメリットを事前に知っておく」ということですよね。
今回のブログは、人気の間取りに隠れた、失敗を回避するために役立つブログとなっています。

人気の間取りのメリットやデメリットに加えて、失敗ポイントや効果的な対策まで詳しく解説します。

是非、最後までご覧いただいて、人気の間取りで失敗しないための参考にしていただいたらと思います。

それでは、「選ぶと危険!人気の間取り5選」を紹介していきます。

1.吹き抜け


人気の間取り1つ目は、吹き抜けです。

吹き抜けは、2階建ての場合、1階の天井を作らずに、2階の空間を一体とすることで、上下階をつなげた間取り形状です。
「いや、知っとるわ」とツッコまれてしまいそうなくらい、誰もが憧れる人気の間取りですよね。



そして、吹き抜けを採用するうえでの一番のメリットは、なんといっても、天井が高くなることで得られる、解放感ですよね。

また、吹き抜けに高窓を設けることで、自然採光を取り込んだ、明るい空間とすることができます。
こういった特徴から、吹き抜けは特に、リビングの上部に設けることが多く、明るく開放的なリビング空間を演出することができます。

しかし、同時に吹き抜けには、事前に知っておくべきデメリットが多いということは、ご存知の方も多いと思います。
例えば、冷暖房が効きにくいということや、音や匂いが2階に抜けてしまうということです。

こういったデメリットは、生活環境に直結しますから、「吹き抜けはやめておけば良かった」、と後悔するポイントになります。

ただ実は、「吹き抜けにして良かったと」いう方と、「吹き抜けにしなければ良かった」、という方を分ける、大きなポイントがあります。そのポイントは、「1階部分に開口があるかどうか」ということです。

これだけでは、「なんのこっちゃ」ですよね。詳しくご説明します。
例えば、隣接するお家の影響で、1階部分に開口が取れない間取りの場合、吹き抜けを設けることで、採光や通風を確保することができます。



また、高窓を設置することでプライバシー性も確保できますし、開放感も得ることができますから、吹き抜けがあるかどうかが、家の快適性に非常に影響があります。


しかし、逆に1階に大きな開口が取れている場合は、吹き抜けの主なメリットは、快適性というよりは、デザイン性や1・2階の一体性といった部分になりますから、生活してから音や匂い、そして、寒いというような生活環境に不便を感じてしまうと、吹き抜けの必要性をあまり感じなくなってしまいます。



そうなると、数年経ってデザイン性のこだわりが薄れてきた頃に、「吹き抜けって悪いことばっかりやん」とデメリットばかりが目についてしまいます。

つまり、吹き抜けには「1階に開口が取れているか」が大きく影響するということなんです。

とはいっても、1階に開口がある場合でも、吹き抜けの開放性は取り入れたいという方もいると思います。

その場合は、「高天井」をおすすめします。

高天井は、2.7mを超えるような高い天井ですから、吹き抜けのように、開放感のある空間とすることができます。そして、臭いや音、空調のようなデメリットの部分はありませんから、メリットだけを享受することができます。

「そんなエエとこどりしていいんか」と言われそうですが、もちろんいいんです。

2.2階トイレ


人気の間取り2つ目は、2階トイレです。

2階トイレは2階にトイレを設ける間取りです。
「そのままやないかっ!」というツッコミありがとうございます。

2階トイレは、現在では標準的に採用されることも多く、逆に家全体で、1ヶ所しかトイレが無いという場合は、「寝室からトイレまでが遠い」「各階に設けるべきだった」というような後悔の声が多く上がっています。

また、実際に間取りチェックにご依頼をいただいた方でも、平屋建てで2箇所トイレを設けている場合や、3階建てで3か所のトイレを設置している場合もあるくらいで、トイレの数は複数個設けるということが一般的になっています。

ただ、2階トイレにも失敗ポイントがあります。
そして、その失敗ポイントは、最近の間取りの傾向に、特に起因したものです。

2階トイレの失敗ポイントは、配管経路です。
2階トイレの汚水配管(汚水配管=汚物を流す配管)は、外壁の外に配管をすることが理想です。


なぜなら、外壁の外に配管をすると、縦に真っすぐ下すことができますから、形状がシンプルで詰まりにくいです。
また、もし詰まった際も容易に点検や清掃を行うことができます。加えて、トイレの水を流した際の音も気になりません。

逆にパイプスペースなどを設けて、家の中に汚水配管がある場合は、配管の詰まりや、メンテナンスの際に苦労することになります。また、トイレを流した際の、音の対策も必要になります。



そして、最近の傾向で、トイレに窓を設けない場合も多いため、必ずしもトイレが、外壁に面している訳ではありません。

そうなると、どうしても配管は、天井内や、パイプスペースを通して配管する必要がありますから、配管のメンテナンスというデメリットが出てきてしまいます。

ですから「トイレに窓は要らない」という場合でも、トイレの位置は、外壁に面して設置してください。

一点注意点として、外部配管を設ける際は、意匠性にも十分注意してトイレの位置を検討してください。

「家の真っ正面に汚水配管が来てしまった」というのは結構つらいですよね。
ちなみに、「外部は配管が劣化するやないか」という方もいるかもしれませんが、それは心配ありません。汚水配管のタテ管に使用するVP(硬質ポリ塩化ビニル管)は50年以上の耐用年数があります。

つまりサイディングより強いですから、外壁と同じようにメンテナンスすれば全く問題はありません。

3.玄関手洗い


人気の間取り3つ目は玄関手洗いです。

玄関手洗いは、玄関周辺に手洗いを設置することで、帰宅後すぐに手を洗うことができる仕様です。コロナ禍で一気に採用する方が増えましたが、その後も衛生面を考慮して設置する方は多いです。

玄関収納の失敗ポイントは「設置位置」です。
玄関手洗いを、帰宅後すぐに使用するために、玄関の土間部分に設置される方が、一定数いらっしゃいます。



確かに、土間部分はどこよりも早く、手洗いできる場所ですし、一見すると、土間の上なら、水の飛び跳ねも気にしなくて良いように感じます。

ただ、玄関手洗いと言っても、普段使いする洗面のスペースですから、メインの洗面と同様に掃除などのお手入れをする必要はあります。

特に帰宅時に手を洗うスペースですし、土間部分のホコリもありますから、間違いなく日常的に汚れます。トイレの手洗いのような使い方をイメージしていたら、汚れやすさに気づいて、使わなくなってしまうかもしれません。

また、玄関に設置するわけですから、常に掃除をしておかないと、来客の目にも触れることになります。

そして、掃除をするにしても、イチイチ下足に履き替えて、掃除をしたり、タオルを掛けたりするわけですから、あまりの手間に「もう今日から汚すの禁止!」と、家族に無理難題を押し付けてしまうからもしれません。

ですから、玄関手洗いを設置する際に、気を付けておくことは、来客の目に触れない位置に設置すること、そして、お手入れもしやすい位置にすること、加えて掃除用具などを入れる収納を設けること、この3点に注意して設置してください。

もし、ウォークスルータイプのシューズクロークを設置する予定があれば、一番理想の設置位置となります。

いずれにしても玄関手洗いは、家の設備の中で、必須とは言えない贅沢な仕様ですから、「せっかく付けたのに全然使わへん」ということが無いように、位置の検討は入念にしてください。

4.アウトドアリビング


人気の間取り4つ目は、アウトドアリビングです。

アウトドアリビングは、リビングに隣接してデッキやテラスを設けた間取りです。
リビングからそのまま外部空間につなげることで、外に向けて広がりのあるリビングとすることができます。

特にデッキ空間で、バーベキューをしたり、庭でガーデニングをしたりと、外部空間を利用する頻度が高いという方にお勧めの間取りです。

しかし、アウトドアリビングには、外部空間を全く使わなくなってしまう失敗ポイントがあります。

その失敗ポイントは、プライバシー性です。

デッキやテラスを設ける際は、開放感を優先して、道路等の開けた面に向けて設置することが多いです。
道路面は、明るさや解放感は確保しやすいですが、同時に周囲からの目線も受けやすくなります。



そうなると、アウトドアリビングの場合は、デッキやテラスだけではなく、リビングのプライバシ―性も低くなってしまいます。

ですから、アウトドアリビングを採用する際は、外部空間のプライバシーの確保も合わせて検討してください。


効果的な対策としては、背の高い塀や植栽を設置することで道路面の目線を防ぐことができます。




また、隣地からの視線が気になる場合は、L字やコの字の間取り形状を採用することで、2階からの視線も防ぐことができます。


「そこまでやらなあかんか!?」と思われるかもしれませんが、目線が気になってくつろげないリビングを作るくらいなら検討するべきだと思います。

5.造作家具


人気の間取り5つ目は、造作家具です。

造作家具は、工事中の段階で、大工さんに家に直接取り付けてもらうタイプの家具です。
造り付け家具や特注家具と呼ぶこともあります。

メリットとしては、家が完成した段階ですぐに使えることや、素材からこだわって指定できること、そして何より、間取りに合わせたサイズでピッタリに製作できることが挙げられます。

特に最近SNSでも良く見かける造作家具が、ダイニングテーブルです。

最近は、ダイニングテーブルをキッチンに並べて配置する間取り形状が増えています。
その際にダイニングテーブルを、キッチンカウンターと兼ねて設置するパターンも増えています。



ただしこちらには、失敗ポイントがたくさんありますから、しっかりと事前に確認の上で採用してください。

失敗ポイント1つ目は、使用する人数は変化するということです。
子供の人数が想定よりも増えることはありますし、子供の独立によって減ることもあります。通常その人数に合わせてテーブルの大きさも変化していきますが、造り付けの場合は容易に変更することはできません。

失敗ポイント2つ目は、劣化による交換ができないということです。
ダイニングテーブルは収納家具と違い、経年で使用感がでやすい家具ですから、ずっとキレイな状態でいる訳ではありません。

もちろん無垢材であれば、塗装の塗りなおしもできますが、塗装の間は一定期間使用できなくなりますし、研磨した際のホコリや、塗料の臭いなどは、実際に塗りなおしを体感してみないと分からない部分です。

ですから、十分メンテナンスの内容に、納得の上で採用する必要があります。



そして、失敗ポイント3つ目は移動ができないという点です。
造作家具は基本的に固定されていますから、掃除などで移動したくても動かすことができません。

特にダイニングテーブルは、お子さんがいる場合は、食べこぼしなどで、家の中でも最も汚れやすい部分ですから、掃除のしやすさは重要です。

回転寿しのテーブル席の床の汚なさに驚いたことありませんか?固定テーブルの弊害です。

以上のように、造り付けのダイニングテーブルは採用する前に知っておくべき注意点が多いです。

また、どうしてもキッチンカウンターとダイニングテーブルの素材に合わせたいという場合は、家具屋さんに可動式のテーブルを作ってもらいこともできます。そうすれば、素材や高さも合わせることができるのでおススメです。




今回は、『選ぶと危険!人気の間取り5選』をご紹介しました。

今回のポイントをおさらいしてまとめると、


1.吹き抜け 1階に開口があるなら吹き抜けよりも高天井がおすすめ
2.2階トイレ 汚水配管は外部配管で行う
3.アウトドアリビング プライバシーが重要
4.玄関手洗い 設置位置はお手入れをイメージする
5.造り付け家具 ダイニングテーブルは覚悟持って採用

こういった内容でお伝えしました。

このブログでは、実際の住まいづくりで、本当に役立つような情報をお伝えしております。

このような専門的なブログを見ていただいてる時点で、既に皆さんは、後悔の無い家づくりに近づいていると思います。皆さんの住まいづくりのお手伝いができるよう、毎週役立つ情報を配信をしております。

一緒に最高の家づくり目指して頑張っていきましょう。

住まいの専門家チャンネル
 オンライン個別相談

https://sumaisenmon.hp.peraichi.com/

こちらの記事はこの動画で詳しく解説していますので、是非ご覧下さい!
チャンネル登録お願いします!

上谷 幸祐

上谷 幸祐

一級建築士。株式会社かみだに工務店一級建築士事務所代表。 徳島出身。1984年4月生まれ。4児の父。 建築一筋18年、住宅診断300棟、設計施工100棟 ゼネコンでの現場監督経験や、大手ハウスメーカーでの営業・設計など幅広い建築経験を経て独立。 現在は、徳島県で主に間取りリフォームやリノベーションを扱う工務店を経営。 登録者6000人超の住宅関連情報を発信しているYouTubeチャンネルを運営。

関連記事

TOP