プロは絶対に選ばない!! 後悔するキッチンの間取り5選 後編


こんにちは、住まいの専門家かみだにです。

今回は『プロは絶対に選ばない!! 後悔するキッチンの間取り5選 後編』になります(前編がまだの方はこちらからどうぞ!)

3.180cmのカップボード


キッチン間取りの失敗ポイント3つ目は、180cmのカップボードです。

カップボードは、キッチンとセットで設置されることが多い食器棚収納です。そして、カップボードの幅については、実際にどれくらいの幅が必要なのか、事前に検討しておかないと失敗してしまいます。



まず、カップボードの幅は、180cmを採用されることが多いと思います。

実は180㎝が採用されている理由は、180cmが使いやすい大きさだからという訳ではありません。では、なぜ180㎝なのかというと、構造上採用しやすいからという理由です。

どういうことなのか、詳しくご説明します。

まず木造の場合、キッチンスペース全体の幅は、構造上350cmほどになります。




そして、そこから、通路スペースを除くと、残りのスペースは260cmほどになります。



つまり、これが255cmのキッチンが最も多く採用されている理由です。

そして、カップボード側はというと、255cmの空間に、冷蔵庫とカップボードを設置しますから、255cmから冷蔵庫スペースの75cm除くと、残りは180cmとなる訳です。



つまり、180cmのカップボード幅は、使いやすい訳ではなく、構造上設置しやすいという理由で採用されているんです。

少し以前であれば180cmでも十分というご家庭は多かったと思います。ただ、現在は従来に比べ、カップボードに設置する家電が非常に多くなっており、ほとんどの場合、カウンタースペースが足りません。



例えば、設置する家電の一例を挙げると、電子レンジ(50㎝)、炊飯器(30㎝)、ケトル(20㎝)、コーヒーメーカー(30㎝)、ミキサー(20㎝)、以上の5つの家電を常時カウンターに設置するとします。

これらの家電は、別段特別なものではなく、どこのお家でも常時置いておきたい家電ですよね。

では、それぞれの家電に10㎝の隙間を開けて設置すると、これで合計が180㎝になります。

いかがでしょうか?案外最低限の家電で、既に180㎝をめいっぱい使ってしまうということが分かっていただけたかと思います。

加えてトースターを別に設置する場合や、カップボードを作業台としても使いたいという場合は、それ以上のスペースが必要になってきます。

もちろん、家電を使う度に毎度片付けるという方は問題有りませんが、実際、かなり面倒な作業ですよね。

また、カウンター下の収納についても、現在は勝手口を設けないご家庭が多く、カウンター下にゴミ置き場のスペースをしっかりと確保する必要があります。



そうなると、最低でも180cmの半分のスペースは、ゴミ置き場として必要になりますから、本来の食器棚としてのスペースが制限されてしまいます。

そして、カップボードの幅は、一度間取りの大きさが決まってしまうと、簡単に広げることができませんから、しっかりとプラン段階で広めにとっていただくよう要望をしておいてください。

カップボードの理想の幅は、キッチンと同じ幅が確保できると、カウンターが広くとれることはもちろんですが、見た目もスッキリと納めることができます。



是非、自分にとっては、どれくらいの幅が必要なのか、事前にしっかりとご検討ください。


4.LDKの思い込み


キッチン間取りの失敗ポイント4つ目は、LDKの思い込みです。

LDKの思い込みというのは、LDKの配置を考える際に、【キッチン→ダイニング→リビング】の順番で配置しないといけない、という思い込みのことです。



この【リビングとダイニングを隣合わせで配置する】という制約は、LDKの形状をかなり限定してしまいます。

さらに、この並びの欠点として、リビングとダイニング部分の収納スペースが限定されるというデメリットもあります。



空間を一体で広く設けられる分、逆に壁が少なくなりますから、収納を設置したり家具を置くスペースは、かなり制限されますよね。

そもそも、リビングとダイニングは、家事動線にしても生活動線にしても直接的な関連性はないのですから、隣合わせる必要はありません。



ですから、必ずしもLDKという流れではなく、キッチンを中心にしたLKDという配置の方がメリットがあるという方は多いと思います。

LKD配置の場合は、キッチンを中心として配置することで、リビング・ダイニングそれぞれのスペースと家事空間を連続させることができます。

キッチンを中心とした配置



また、リビングとダイニング空間を間取りの端部に配置することで、それぞれに収納スペースを配置しやすくなります。

キッチンを中心に設ける間取りは、直線状でも配置は可能ですが、少しL字形状で設ける方がコンパクトに配置できます。

L字形状で設ける間取り



LKDの配置はプロに要望してもピンとこない場合は多いですから、まずはご自身で、間取り形状を事前にイメージしてから、要望することをおすすめします。

5.パントリーの配置


キッチン間取りの失敗ポイント5つ目は、パントリーの配置です。

パントリーは、食材や調理器具を収納する、キッチン専用の収納スペースです。



非常に便利で人気のある収納スペースですが、パントリーは配置で失敗をしてしまう場合があります。

その失敗配置は、玄関から遠いパントリーです。パントリーは、主に食品庫として利用しますから、できるだけ玄関に近い配置の方が、普段使いしやすくなります。

特に最近は、共働き家庭も増えて、週末に大量の買い置きを、まとめてパントリーに収納しておく、というご家庭も多いと思います。

その際に、パントリーを玄関から離れた配置にしてしまうと、収納への動線が長く、不便に感じてしまいます。ですから、できるだけパントリーは、玄関やホール空間から直接行き来できる配置が望まれます。



そしてその際に、オススメのパントリー形状は、ウォークスルータイプのパントリーです。



玄関からキッチンの動線上に、ウォークスルータイプのパントリーを設置すると、キッチンまでの動線上にパントリーが設置されますから、買い物の収納もスムーズに行うことができます。

また、普段の動線上に配置することで、収納している食材やストック類を把握しやすくなり、気がついたらお米の在庫がなくなっていたということも起こりにくくなります。

水やお米など、食材は重たいものが多いですから、買い置きの移動で苦労をしたくない、という方は是非参考にしてください。



今回は『キッチンの間取りの失敗ポイント』をご紹介しました。
最後にまとめておさらいすると、

  1. 横並びダイニング 無理やり横並びダイニングにならないよう注意する
  2. キッチンの通路幅 最低1m以上確保する
  3. カップボードの幅 180cmは使いやすいから採用されている訳ではない
  4. LDKの思い込み LKD配置も検討する
  5. パントリー配置 玄関からの動線上に設ける


このブログでは実際の住まいづくりで本当に役立つような情報をお伝えしております。皆さんの住まいづくりのお手伝いができるよう引き続き役立つ情報を配信していきます。

ということで今回も最後までご覧いただき本当にありがとうございました。一緒に最高の家づくりを目指して頑張っていきましょう!


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上谷 幸祐

上谷 幸祐

一級建築士。株式会社かみだに工務店一級建築士事務所代表。 徳島出身。1984年4月生まれ。4児の父。 建築一筋18年、住宅診断300棟、設計施工100棟 ゼネコンでの現場監督経験や、大手ハウスメーカーでの営業・設計など幅広い建築経験を経て独立。 現在は、徳島県で主に間取りリフォームやリノベーションを扱う工務店を経営。 登録者6000人超の住宅関連情報を発信しているYouTubeチャンネルを運営。

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