後悔しやすい住宅設備10選 前編

こんにちは、住まいの専門家かみだにです。

あなたは住宅設備の本当の特徴を理解していますか?

今回は、後悔しやすい住宅設備シリーズをご紹介します。さて、住宅設備や仕様選びというのは、楽しい反面、選ぶのに苦労する要素ではありますよね。

苦労する理由としては、カタログや実物サンプルなどで、実際の現物を確認して納得の上で決めてはいるものの、実際に自分の生活スタイルで満足できるかどうかは、やはり生活してからでないと分らないからですよね。

そこで今回は、そういった悩みをしっかりと解消できるように、プロの経験から後悔しやすい設備や仕様を10個ご紹介します。

また、それぞれの設備の後悔しやすい特徴や、採用するうえでの事前対策も詳しく解説します。

今回は数も多いので、テンポよくお話ししますから、「いつも説明長いねん!回りくどい!嘘!大げさ!紛らわしい!」という方も楽しくご覧いただけます。それでは、早速いってみましょう。

今回ご紹介する後悔しやすい住宅設備はこちらの10個です。

.対面型ダイニング
2.床断熱
3.照明の電球色
4.洗面脱衣室
5.キッチン扉の鏡面タイプ
6.廊下のコンセント
7.Ⅱ型キッチン
8.階段のササラ
9.標準の水栓柱
10.洗面の台付け水栓


どれも事前に知っておくべき後悔ポイントがあるものばかりとなっています。
それでは、一つずつ詳しくご紹介します。

1.対面型ダイニング


後悔しやすい住宅設備1つ目は、対面型ダイニングです。
『・・・えっ、なんて?対面型ダイニング?対面型キッチンじゃなくて?』と思われた方も多いと思いますので、ご説明します。

対面型ダイニングは、キッチンに対してカウンター越しにダイニングを配置する間取りです。対面キッチンと聞くと、一番イメージしやすいのは、この形だと思います。





ただ現在、この対面型のダイニングは、徐々に採用されることが少なくなってきました。その理由は、「横並びダイニング」を採用する方が増えているからです。



横並びダイニングは、キッチンに対してダイニングを平行方向に配置する間取りです。実は、この横並びダイニングは、ただ流行っているだけという間取りではなく、実際に採用するとメリットが多く、私も機能的な観点から提案する場面が増えています。

では、横並びダイニングが、どういった面で対面型ダイニングよりもおススメできるのかをご紹介します。



横並びダイニングの主なメリットは、3つあります。

1.動線がスムーズ
2.作業スペースを拡充できる
3.省スペース


まず、1つ目の動線に関しては、キッチンカウンターを回り込む必要が無いため、配膳などの作業がスムーズになります。

また、お子さんがダイニングテーブルで勉強をするご家庭も多いと思いますから、その場合は、ヨコ移動だけで行き来することができますから、より動線のメリットを感じられると思います。

この動線については、時短や家事負担の軽減に直結しますから、共働き世帯には特におすすめです。


そして、2つ目の作業スペースに関しては、ダイニングテーブルが平行に並んでいることで、調理スペースの延長として、テーブルを、食器や食材の仮置き場として利用できます。


続いて、3つ目の省スペースについては、対面型のダイニングに比べ、周りこむための通路スペースが必要ありませんから、ダイニングのスペースをコンパクトに設計することができます。



このように、横並びダイニングは、対面型のダイニングに比べてメリットが多い仕様です。ただ、もちろん全くデメリットが無いわけではないので、ご紹介します。

横並びダイニングのデメリットは、テレビ配置が難しいという点です。

どういうことかというと、横並びダイニングは、キッチンからダイニングテーブルまでを一直線に配置しますから、間取りとして、かなり長い距離を必要とします。

そうなると、リビングを含めたLDK空間は、長方形配置は難しくなり、L字型などの矩形になりやすいです。

矩形の間取りの場合は、各スペースから同じ方向に向くというのは難しくなりますから、ダイニングだけはリビングのテレビが見えない、といった可能性が高くなります。

ですから、『食事中テレビは必須やろ!テレビはおかずと一緒や!』というテレビっ子世代の方は、その点、十分注意をして採用を検討してください。

2.床断熱

床断熱


後悔しやすい住宅設備2つ目は、床断熱です。床断熱は、床下に対しての断熱方法です。

床下の断熱方法は、この床断熱と基礎断熱という2種類の方法があります。


この2種類の違いを簡単に一言でご説明すると、1階の床下である、基礎の中の空間を室内にするか屋外にするか、という差になります。

基礎の中の空間



まず、基礎断熱の場合は、外周の基礎の部分で断熱しますから、床下空間は室内と同じ扱いになります。

基礎断熱



対して、床断熱の場合は、1階の床部分で断熱しますから、床下空間は屋外と同じ扱いになります。この時点で、なんとなく、床下を室内と同じ扱いにした方が、居住空間としては環境が良さそうに感じませんか。

実は、その通りで、床下を室内として扱うことで、メリットはかなり多いです。

まず、夏場の場合は、床下へ外部の暑い空気が流入しにくいですから、日中、日が当たらない床下空間は、冷えた空気の状態を保つことができます。

そして、特に勘違いしやすい部分ですが、外気を取り入れるといえば、新鮮で気持ちのイイ空気というようなイメージがあるかもしれませんが、夏場の空気は湿度が70%を当たり前に超えてくるので、床下に外気を取り入れていれば、環境が良くなるという訳ではありません。

また、逆に冬場になれば、基礎断熱のメリットはさらに高まります。

床下空間に、外部の冷気が流入しませんから、床に触れた際の冷たさも感じにくくなります。

そもそもは、ここを最大のメリットに感じて、基礎断熱を採用する方も多いと思います。そして、それに加えて基礎断熱は、将来のリフォームの際にもメリットがあります。

どういうことかというと、水回りの設備には、配管や配線のために、床に対して貫通孔を開ける必要があります。この貫通孔は断熱や気密の部分で言えば、欠損や隙間を作りやすい部分となります。



それが、リフォームなどの際には、水回り配管の入れ替えや位置変更により、その断熱欠損が起こりやすい状況になります。
しかし、基礎断熱を採用していれば、そもそも床下は室内空間ですから、床面に断熱材はありません。つまり、欠損も起こりえないということになります。



『いや、せやけど基礎断熱にもデメリットはあるやろ!シロアリに弱いとか聞いたことあるで!』と思った方もいるかもしれませんが、確かに、床下に断熱材を施工するとシロアリの発見が遅くなる、という部分はデメリットではあります。



しかし、そもそもの部分で、床下を室内と同じように湿度を抑えた環境にすることが、湿潤な環境を好むシロアリの発生を防げるというメリットにもなります。

ということで、様々な面で床断熱よりも基礎断熱を採用することを、おすすめします。

3.照明の電球色


後悔しやすい住宅設備3つ目は、照明の電球色です。

現在、照明には、主流となっている色が3種類あります。

1.太陽光のように白い光の昼白色
2.暖かみのあるオレンジ色の電球色
3.昼白色と電球色の中間の色である温白色


電球色は、暖かみのあるオレンジ色ですから、団らんの空間であるリビングや、寝室に採用することが多いと思います。ただ、電球色については、後悔しやすい注意点があります。それは、照明が暗いということです。

どういうことかご説明します。

まず、オレンジ色の電球色と、白い昼白色の照度には違いがあります。

どういった違いかというと、例えば、FCL30wクラスのシーリングライトで比較すると、昼白色の場合は1430ルーメンであるのに対して、電球色では1300ルーメンと、消費電力が全く同じ15wでも、130ルーメンもの照度の差がでてきます。照度というのは、単純な明るさのことです。



そして、この照度の差に加えて、色の違いによる、被写体の見え方にも差が出てきますから、特に文字を見るような場合には、電球色の方がかなり見えにくく感じると思います。


なぜなら、文字の色は黒が多いですから、反対色である白い光の方が、より被写体をクッキリと見せることができるからです。


ただ、もちろんデメリットだけではなく、電球色にもメリットはあります。例えば、落ち着いた暖かみのある空間を演出できることや、睡眠へ導入しやすいことが挙げられます。



しかし、こういった演色性に関することよりも、暗くて文字が見えづらいというような単純なものの方が、普段の生活でストレスを感じやすく、後悔に直結しやすいです。

特に年齢によっても必要な照度は変わってきますから、照明の色はご家庭や部屋毎に選ぶようにしてください。

最終的に、どっちにしようか悩むという方は、中間色の温白色を選定してください。そうすれば、程よい温かみもありますし、暗く感じることもないのでオススメです。

ただ、温白色のことを業者は「おんぱく」って呼ぶんですよね。なんかダサく感じませんか?それが唯一のデメリットです。




次回は『後悔しやすい住宅設備 中編』になります!

▼こちらの記事はこの動画で詳しく解説していますので、是非ご覧ください!
チャンネル登録お願いします!

上谷 幸祐

上谷 幸祐

一級建築士。株式会社かみだに工務店一級建築士事務所代表。 徳島出身。1984年4月生まれ。4児の父。 建築一筋18年、住宅診断300棟、設計施工100棟 ゼネコンでの現場監督経験や、大手ハウスメーカーでの営業・設計など幅広い建築経験を経て独立。 現在は、徳島県で主に間取りリフォームやリノベーションを扱う工務店を経営。 登録者6000人超の住宅関連情報を発信しているYouTubeチャンネルを運営。

関連記事

TOP