こんにちは住まいの専門家上谷です。
間取りには、生活してからじゃないと気づけない、色々な悩みが出てきます。
例えば、気に入って採用したけど、理想の使い方が、全然できない!ということや、SNSで色んな人がオススメしているから採用したのに、自分の生活スタイルには全く合わない!といったことがあります。
せっかくこだわった間取りで、こういった失敗は、絶対に避けたいですよね。
今回はそんな間取りにまつわる、失敗を回避する為に役立つ内容になっております。
さらにご紹介する間取りは、どれもほとんどのお家で、当たり前に採用されている間取りや、SNSでオススメされることが多い間取りばかりをご紹介します。
もしかしたら皆さんのお家でも、既に採用を検討している間取りかもしれません。
それでは『選ぶと危険!失敗する間取り7選』をご紹介します!
1. 総二階
失敗する間取り1つ目は、総二階です。
「えっ総二階は大丈夫やろ、メリットばっかりのはずやん」と思った方も多いと思いますが、実は、メリットばかりが先行して、総二階の危険な部分を知らずに、採用してしまっている方が多いです。
では、詳しくご説明します。
総二階は、1階と2階がほとんど同じ形をしたお家です。
総二階はそのシンプルな形状から、様々なメリットがあることでも知られています。
例えば、凹凸が少なく、建築費用を抑えられることや、バランスが良く、耐震性が高いこと、そして、施工のしやすさから、気密性や断熱性に優れているということです。
こういったメリットは皆さんもご存知ではないでしょうか。
このように一見メリットばかりで、率先して採用すべきのように感じる総二階ですが、実は、大きな失敗ポイントがあります。
その失敗ポイントというのが、「無理やり総二階」です。
「えっ、いやなにそれ、初めて聞くんやけど」と思われた方も多いと思いますので、ご説明します。
「無理やり総二階」というのは、希望の間取りが、本来総二階で実現させることが難しいのにも関わらず、無理やり総二階にして設計した間取りのことです。
というのも最近の間取りでは、広いLDKや1階で家事を完結させるという要望が多く、従来の家よりも1階のボリュームが大きくなっています。そこに加えて、世帯人数が減少したことで、2階の個室の数も減っています。
そうなると、1階と2階の面積が同じというのは、なんとなく難しそうな気がしませんか?
そして、問題はここからなんです。
その時に、総二階ありきで考えていると、やってしまいがちなのが、大きい1階の面積に合わせて、2階の面積を広げるという失敗行為です。
例えば、広い吹き抜けや、やたらと広い2階ホールを設けたり、フリースペースや納戸を配置したり、時には、各個室にWICを計画している場合もあります。
そもそも総二階は、コストを削減できるというのが一番のメリットですから、総二階にするために、無駄なスペースを作ってしまっては本末転倒ですよね。
間取りの計画は、枠内に収めるパズルではありません。
パズル感覚になってしまうと、スペースを埋めるために、無駄な計画をしてしまいます。
どうしても、坪単価を優先するハウスメーカーは、総二階の提案になりがちなので、もし、総二階の提案を受けた場合は、「無理やり総二階」になっていないか確認してください。
でも、打合せで「これ、無理やり総二階やろ!?」とは言わないでくださいね。
私が勝手に言ってるだけで、その言葉通じませんから。
2. 直階段
それでは、続いて失敗する間取り2つ目は、直階段です。
直階段は、途中で折れ曲がる部分がなく、シンプルに、真っすぐ上り下りができる階段です。
中間に踊り場もなく、踏み段の形状もシンプルですから、階段を最小面積で設置することができます。
例えば、廻り階段の場合、いわゆる4マスという広さで設置しますが、直階段の場合は、3マスで設置することができますから、1マス分小さくすることができます。
最近の間取りでは、こういった階段や、廊下などの共有面積を、いかにコンパクトに設計できるか、というところも大事ですから、率先して採用したいと考えますよね。
しかし残念ながら、実は、直階段を採用するのは危険です。
その理由は、2つあります。
1つ目の理由は、面積が増えるからです。
「さっき小さくなるって言うたやん!」というツッコミありがとうございます。
ご説明します。
直階段の場合、2階に上がって、各部屋への動線を考えた場合に、必ず階段に添って、廊下を設ける必要が出てきます。これは、直階段が登り口や降り口を含めると、非常に長いので、階段に沿って、両方に動線を通す必要があるからです。
一方、周り階段の場合は、降り口も登り口も同じ方向に設計できますから、ホールに面して部屋を配置することで、廊下をコンパクトにすることができます。
ですから、面積を小さくすることを目的として、直階段を計画すると、失敗する可能性が高いです。
そして、2つ目の理由は、配置計画が難しいからです。
先ほど申し上げたように、直階段は非常に長いので、間取りの中で配置できる場所が、かなり限られてしまいます。2階の間取りだけを考えて配置すると、1階の動線を分断してしまいます。また、1階を優先した場合も同じです。
直階段はこのように、高い設計技術が必要ですので、基本的に廻り階段で計画されることをおススメします。
もし工務店から、直階段でズバッとハマるプラン提案が出てきたら、その担当さんは設計の上級者です。その時は「ラッキー」って言ってあげてください。困惑すると思います。
3. 将来間仕切り
失敗する間取り3つ目は、将来間仕切りです。
将来間仕切りは、主にお子さんの成長に合わせて、1部屋を2部屋に区切ったりできることですよね。
お子さんの人数は、家を建てる時点で、必ずしも確定している訳ではないので、非常に有効な手段ですよね。
また一定期間、広い空間で使用できることもメリットです。
実は、私もおススメしている間取りです。
「えー、いやほんなら、失敗する間取りちゃうやん!?」となりますよね。
ご安心ください。ちゃんと失敗ポイントはあります。
将来間仕切りの失敗ポイントは、仕切る場所です。
どういうことかというと、なぜか将来間仕切りといえば、必ず子供部屋を仕切っているんです。どこのお家もです。
お子さんが小さい間は、家族全員で子供部屋に一緒に寝て、子供に個室が必要になったら入れ替える、という方もいるかもしれません。
ですがそもそも、主寝室と子供部屋の壁が将来間仕切りでも良いんです。
なんなら先ほどのように、お子さんが小さい内は同じ部屋で一緒に寝て、大きくなったら個室にするのであれば、どちらかと言えば、こちらの方が合理的なんです。そうすれば部屋を入れ替える必要もありません。
特段、「将来間仕切りは、子供部屋の間に作るもの!」と決まっている訳ではありませんのでご安心ください。
4. 片開き戸
失敗する間取り4つ目は、片開き戸です。
片開き戸は、住宅で一番採用されることが多い、シンプルな扉です。
気密性が高く、デザインも豊富で、金額も引き戸等の、他の扉形状に比べて、安価なのでメリットも多いです。
ですが、採用することが多い分、気をつけていないと、失敗する間取りのパターンも多いです。
今回は、その中でも2つご紹介します。
片開き戸の失敗1つ目は、扉の開き勝手です。
片開き戸の扉は、部屋の内側に開くのか、外側に開くのかを選択します。
ほとんどの場合、間取り図に勝手に表記されているので、考えることもないかもしれませんが、「部屋の扉は内開きだ」という固定概念があると失敗してしまいます。
そもそも、部屋の扉を内開きにする理由は、廊下を歩いている人と接触すると危険だからですよね。つまり、他の人の動線と干渉しないような部屋であれば、外開きでも問題ないわけです。
例えば、廊下の奥側の部屋です。
そうすれば、内開きの場合には使えないような、扉が開閉するスペースも有効に使えます。
また、クローゼット扉と干渉するような場合も、わざわざ引き戸に変更しなくても解決できます。
続いて、片開き戸の失敗2つ目は、設置場所です。
片開き戸を設置する際に、扉の設置位置を、クローゼットの扉と揃えている場合も多いです。
理由は分かりませんが、これでは廊下のスペースを増やしてしまうだけなので、もったいなく感じます。
とはいっても、位置を変えたところで、扉を開くだけのスペースだから、結局使えないから一緒でしょ、と考えている方も多いと思います。
ですが実は、クローゼットの側面の壁は、格好のニッチ収納の設置スペースです。この部分にマガジンラックや小さい棚を設置すれば、出入りの度に、必ず通る場所に、収納を作ることができます。
これがあれば、忘れ物が多いウチの子供でも、忘れ物を1割くらい減らせるかもしれません。多分無理ですけど。
5. ウォークスルー
失敗する間取り5つ目は、ウォークスルーです。
ウォークスルーは、1つの空間に、2つ以上の出入り口を設けることで、部屋の中を通路としても利用できる配置です。家事動線や生活動線の短縮のために、採用することが多い間取りですよね。
ですが、こちらも失敗することが多いので注意です。
その失敗ポイントは、ウォークスルーにこだわりすぎるということです。詳しくご説明します。
ウォークスルーにこだわると、動線を短縮するために、部屋と部屋をどんどん直接つなげていくことを考えてしまいます。
例えば、家事動線に関係するのは、物干しスペースや脱衣室、そして洗面室と、浴室、加えてファミリークローゼットですよね。こういった部屋にウォークスルーを採用すると、動線は便利なように思うかもしれません。
ですが、例えばファミリークローゼットへ向かうには、必ず脱衣室を経由することになり、実際には、動線は限定的になってしまい、逆に不便を感じてしまいます。
つまり、ウォークスルーを計画すると、動線が限定されるというデメリットがあるんです。
実は、こういった小さいスペースを、効果的に短い動線でつなぐ方法があります。
それは、廊下を設けるという方法です。非常に簡単な方法で解決します。
最近では、いかに廊下を無くして、コンパクトに設計するのか、というところに意識が向きすぎて、部屋と部屋を直接つなげて、動線が混雑してしまう間取りをよく見かけます。
こういった迷路のような間取りは、廊下やホールを設けることでスムーズになります。
一見、廊下は余分なスペースに感じるかもしれませんが、廊下を設けることで、その分、部屋の中に計画していた、通路の空間を、今度は部屋の空間として、有効に利用できます。
ですから、無駄なスペースにはなりませんので、ご安心ください。
無駄な廊下はもちろん無駄ですが、必ずしも廊下を0にすることが、コンパクトな設計の為に良いとは限りません。
でも、まあやっぱり、極力0が理想ですよね。「いや、どっちやねん!」
6. 小上がり和室
失敗する間取り6つ目は、小上がり和室です。
小上がり和室は、主にLDKに隣接して設けることが多い、畳のスペースです。
この小上がり和室は、作って良かったという成功の声と、作らなければ良かった、という失敗の声がそれぞれに多い印象です。
そして、実はこの成功と失敗を分ける、明確な失敗ポイントがあります。
その失敗ポイントは、LDK空間と一体になっているかどうかです。
どういうことかというと、LDK空間と一体に配置できていれば、普段から使用するスペースとして生きてきますが、孤立した配置にしてしまうと、一気に普段使いしなくなってしまいます。
そうなると、使用する頻度は下がってしまいますから、「作らなければ良かった」、と後悔することになってしまいます。
これを回避する最も効果的な方法は、リビングと小上がり和室を、兼ねるという方法です。
そもそも、小上がり和室は、従来でいう居間のような使い方をしますから、リビングとキャラが被ってしまっています。
それなら初めから、小上がり和室をリビングとして使用することで、家族の誰かや、来客時にだけ使う、狭い畳スペースではなく、広々とした畳空間で、家族全員でくつろぐことができます。「やっぱり畳が落ち着く」という方におススメです。
7. シューズクローク
失敗する間取り7つ目は、シューズクロークです。
シューズクロークは、説明もいらないくらい採用率の高い人気の玄関収納ですよね。
ウォークインタイプで使用する場合や、サブ玄関としてウォークスルーで使用する場合など、そのご家庭によって、色々な使い方ができる一方、それぞれに失敗ポイントはあるのですが、どのパターンにも共通している、最大の失敗ポイントがあります。
それは、暗いということです。
シューズクロークを設けているお家は、窓を配置する面が無くなってしまう場合が多く、玄関ドアの小さなガラス窓に、玄関の採光の全てを託している場合が多いです。
さすがに玄関ドアも、それは荷が重いです。
以前のこちらのブログでも、玄関の暗さについては解説していますが、相変わらず間取りチェックのご依頼の中で、窓が無い玄関が凄く多いです。
少しの巾でも良いので、玄関ドア以外で窓を設置してほしいと思います。
今回は、『選ぶと危険!失敗する間取り7選』をご紹介しました。
間取りは、一度気に入って採用を考えてしまうと、確証バイアスが影響して、間取りの良い面しか見えなくなってしまいます。そこはあえて、反対意見を聞いてみたり、デメリットも検索してみて、悪い面も見た上で採用してください。
特に、工務店や不動産業者が発信している情報は、何か裏があるかもしれませんので、気をつけてください。
はい、そうです。私もその一人ですから、必ず他の方の意見も参考にしてください。
このブログでは、実際の住まいづくりで、本当に役立つような情報をお伝えしております。
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