知らないと絶対に後悔する! 不要な間取り・仕様5選 前編


あなたにとって、その間取りや仕様は本当に必要ですか?

こんにちは、住まいの専門家かみだにです。

家づくりの中で、皆さんが楽しみにしているものは何ですか?
『そら、住宅展示場でもらえるアマゾンギフト券に決まってるやろ!』という兵もいるかもしれませんが、やっぱり家づくりの醍醐味は、間取りや仕様選びですよね!

ただ、実際に選んでみると、あまりの選択肢の多さに、どの間取りや仕様が良いのか悩んでしまったり、結局自分では決められず、住宅会社に提案されたものをそのまま選んでしまうかもしれません。

もちろん、それで満足できるのであれば、問題はありません。

しかし、もしも、その提案されたままの間取りや仕様が、そもそも自分の生活スタイルにとって、全く必要が無いものだったとしたらいかがでしょうか?
この物価高騰の中、無駄なものに費用をかけるなんて絶対に避けたいですよね。

そこで今回は、当たり前に採用されている間取りや住宅仕様の中で、生活スタイルによっては、全く採用する必要が無いものをご紹介します!
また、採用する必要が無い理由や、条件や注意ポイントについても詳しくご説明します。

それでは、今回ご紹介する実は不要な間取り・仕様は、こちらです。

  1. お風呂
  2. 雨樋  
  3. トイレ
  4. 子供部屋
  5. リビング


以上の5つをご紹介します。

一見どれも必須の間取りや仕様に感じるかもしれませんが、実はどれも生活スタイルによって必要が無いものばかりです。そして、もし不要となれば、大きく予算を削ることができますから、ご自分の生活スタイルと照らし合わせながら、ご覧ください。

1.お風呂


不要な間取り・仕様の1つ目は、お風呂です。

『いや、お風呂が不要ってどういうことやねん!そんな毎日銭湯通えるか!』ということではありません。ご説明します。

現在、お風呂といえば、9割以上の方が、ユニットバスを採用されると思います。ユニットバスというのは、お風呂の床、壁、天井、浴槽が、一体で製品化された浴室のことです。

また、規格製品化されている分、気密性や防水性がしっかりと確保された商品を、安価に採用することができます。

ただ、実は、一見無駄が無いように感じる、このユニットバスにも、生活スタイルによって不要になる設備があります。


それが、浴槽です。

ユニットバスの浴槽は、必ずセットになっていると思っている方も多いかもしれませんが、実は、必須の設備ではありません。

つまり、生活スタイルによっては、自宅で浴槽に浸かることはほとんど無いという方もいますから、そういった方にとっては、浴槽を無くすことで、様々なメリットがあります。


それでは、まずそのメリットをご紹介します。

浴槽を無くすメリット1つ目は、価格です。まず、イメージしやすいのは、浴槽がなくなることで、ユニットバス自体の価格が下がるということだと思います。

しかし、実は、価格が下がる要素は、それ以外にもありますので、ご紹介します!

  1. ユニットバス本体の価格
  2. ユニットバスの施工費
  3. 面積削減による建築コスト
  4. 浴槽への追い焚き配管
  5. 給湯器サイズの縮小


こういったものが挙げられます。


この中でも、特に価格に与える影響が大きいものは、3の【面積削減による建築コストの低下】です。

例えば、ユニットバスで、一般的に採用されることが多い、1坪(1616)サイズで比較した場合をご紹介します。

一般的に採用されることが多い1坪(1616)サイズの浴室



1坪(1616)サイズの場合、浴槽が必要なければ、洗い場の広さは、シャワーユニットの0.5坪(0816)サイズと同じですから、0.5坪分建物が小さくなり、建築コストをカットすることができます。



0.5坪の建築コストとなれば、それだけで40万~50万円程度は変わってきますから、大きな差になりますよね。

そして、浴槽が無くても良いとお考えの方は、そもそも浴室へのこだわりが無い、という方が多いと思いますから、シャワーユニットの中でも、安価なタイプを採用することで、浴室全体で大幅なコストダウンを期待することができます。



続いて、浴槽を無くすメリット2つ目は、間取りの自由度です。

先程のように、一般的には1坪(1616)サイズを採用することが多いですから、浴室空間として、間取りの中に、1坪分のまとまったスペースを確保する必要があります。

また、浴室には、脱衣場スペースもセットで必要になりますから、浴室の設置場所が、ある程度限定されてしまいます。

しかし、浴室が0.5(0816)坪のスペースになれば、設置は容易になりますから、間取りの希望の位置に、浴室を設置しやすくなります。




続いて、浴槽を無くすメリット3つ目は、掃除が楽ということです。

家の嫌いな掃除ランキング、長年上位を取り続けているのが、浴槽ですよね。各メーカーも一生懸命に掃除のしやすい浴槽を開発し続けていますが、そもそも浴槽が無ければ掃除の必要はありません。

つまり、掃除のしやすいオプションを追加するのではなく、掃除の根源を無くすということです。

もちろんこれは、お風呂は湯船に浸かりたいという方にとっては無理な話ですが、浴槽は無くても大丈夫、という方にとっては、全くデメリットの無い方法です。

是非、減額案に困った場合は、選択肢の一つとして参考にしてください!


2.雨樋


不要な間取り・仕様2つ目は、雨樋です。

雨樋は、屋根を流れる雨水を一箇所に集めて、配管を経由して排水するための設備です。雨樋を設置する目的は、雨水を、外壁や周囲に飛散させないためです。

そして、雨樋は、要望の有無に関わらず、絶対につけなければいけないものと思っている方も多いと思いますが、事前にポイントを抑えておけば、設置しなくても問題はありません。

そして、雨樋を設置しない場合は、いくつかのメリットがあります。

まずは、そのメリットをご紹介して、そのあとで、雨樋を設置しない場合に抑えておくべき注意ポイントをご紹介します。

雨樋を設置しないメリット』は、こちらの3つです。

  1. 雨樋の費用が不要
  2. 雨樋のメンテナンスコストが不要
  3. 外観デザインがスッキリする


こういったものが挙げられます。


1つ目の【雨樋の費用】については、当然ながら設置しなければ、その分建築費用は下がります。


2つ目の【メンテナンスコスト】については、雨樋の塗り替えや、交換をする費用が不要になるということです。実は、雨樋は、住宅の外部仕様の中でも、特に劣化が早い部材です。


その原因は、3つあります。

1つは、紫外線を非常に受けやすい場所に設置される、ということです。
2つ目は、雨水が流れる影響で、湿った状態が長く続くこと
そして、3つ目は、風の影響を受けやすい場所であることです。



また、雨樋は厚みが薄いため、そもそもの強度もあまり高くありません。



以上のような要因から、雨樋は、屋根や外壁に比べても、メンテナンスの頻度がどうしても高くなってしまいます。

例えば、外壁の塗替えを行う際に、外壁は表面塗装の塗り替えで対応ができても、雨樋は変形しているため、塗り替えではなく交換が必要という場合は非常に多いです。



メンテナンスコストは、生涯のうちで何度も必要になりますから、初期費用以上に、住宅費用に与える影響は大きいです。


そして、雨樋を設置しないメリット3つ目は、【外観がスッキリする】ということです。

雨樋を付けないことで、屋根廻りをスッキリとシャープな印象にすることができます。


以上のように、雨樋を設置しないことで様々なメリットがあります。しかし、だからといって、ただ単純に雨樋を無くせば良いということではありません。

雨樋を設置しない場合に、いくつかの前提条件がありますので、ご紹介します。



1つ目は、『屋根の雨水は、日当りの良い方向へ流す』です。

雨樋を設置する際は、樋と雨水枡を配管で直接接続しますから、雨水はまとまって敷地外に流れていきます。



しかし、雨樋を設置しない場合は、屋根からそのまま家の外周に、雨水を落とすことになります。
その場合に、日当りの悪い面に、雨水を落としてしまうと、年中乾かない、湿気が多い環境を作ってしまうことになります。

家はアンパンマンくらい水気に弱く、コケやカビ、そしてシロアリが発生する原因になってしまいます。ですから、基本的に北面を避けた、日当りの良い面に雨水を落とす必要があります。

つまり、雨樋をつけない場合の屋根の形状は、特定の向きに雨水を落とせる、片流れが最もオススメの形状となり、四面に雨水を落とす必要のある寄棟には向きません。



また、間取りがコの字やロの字形状で、テラスや中庭に向かって雨水が落ちる場合も、日当りや通風に加えて、排水環境が悪いので、雨樋を無くすことはオススメしません。



続いて2つ目の注意ポイントは、『周囲の環境へ配慮する』ということです。

例えば、隣地に対して、雨水が飛散する可能性がある場合は、雨樋は必ずつけてください。つまり、お家の外周にしっかりと敷地の余裕がある場合でないと、採用は難しいです。



注意ポイントの3つ目は、『軒の出が必要』ということです。



雨樋が無い場合は、屋根から落ちる雨水が外壁に当たりやすくなります。外壁に雨水が当たると、湿気によってコケやカビが発生して、外壁の劣化を急速に早めてしまいます。
ですから、軒が無いお家をご希望の場合は、採用をオススメしません。


注意ポイントの4つ目は、『外周の床仕上げ』です。



雨樋をつけない場合は、雨水の地面の跳ね返りによって、基礎や外壁が汚れたり、コケやカビが生える原因になります。

ですから、外周の床面の仕上げは、跳ね返りが少ない砂利をオススメします。また、砂利を敷く前の下地の面で、雨水枡への勾配もしっかりと確保しておいてください。



以上の4つのポイントを抑えておけば、設置費用に加えて、長期に渡るメンテナンスコストも削減することができます。条件を揃えられる環境の場合は、是非ご一考ください。




次回は、『知らないと絶対に後悔する! 不要な間取り・仕様5選  後編』になります!

▼こちらの記事はこの動画で詳しく解説していますので、是非ご覧ください!
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上谷 幸祐

上谷 幸祐

一級建築士。株式会社かみだに工務店一級建築士事務所代表。 徳島出身。1984年4月生まれ。4児の父。 建築一筋18年、住宅診断300棟、設計施工100棟 ゼネコンでの現場監督経験や、大手ハウスメーカーでの営業・設計など幅広い建築経験を経て独立。 現在は、徳島県で主に間取りリフォームやリノベーションを扱う工務店を経営。 登録者6000人超の住宅関連情報を発信しているYouTubeチャンネルを運営。

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